風の谷のナウシカ映画版の結末を考察!ラストのナウシカの復活はなぜ?

自然イメージ

1984年に公開された、宮崎駿監督によるアニメ映画「風の谷のナウシカ」

当時から、科学文明と人類・自然との関係や、軍事といったいろいろな要素を詰め込んだ作品として、現在に至るまで評価の高いこの作品。

科学に頼りすぎた結果、自然との関係が壊れてしまい、衰退の一途をたどる人類を描くなど、今の私達の生活とは切っても切れない科学文明の怖さについても教えてくれますね。

しかし、その世界観の壮大さ、複雑さや、目まぐるしく動く展開などもあって、映画を見た後もいまいち理解しきれない、ということもありますよね。

今回は、そんな「風の谷のナウシカ」の、特にラストシーンについて、展開を振り返りつつ、考察していきたいと思います。

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ラストの展開の簡単なあらすじ


ペジテの策略によって、風の谷に王蟲(オウム)の大群が一斉に押し寄せる。仲間を傷つけられた怒りによって我を忘れ、赤い攻撃色に染まるオウムたち。

風の谷の住人はオウムの突撃の脅威にさらされる。トルメキア軍は、急遽目覚めさせた古代の兵器・巨神兵を使ってオウムの群れに火を放つ。しかし、不完全な巨神兵ではオウムの群れを止めることはできず、オウムの大群が住人や兵士たちに迫る。

そんな時、ナウシカが、助けたオウムの子供とともに、突進するオウムの群れの前に降り立つ。しかし、オウムの群れは止まることなく、無残にもナウシカを跳ね飛ばしてしまう。

すると、オウムの群れが止まり、その目から攻撃色が消え、青く変わる。

オウムの群れの真ん中で、倒れたまま動かず、死んだように見えたナウシカ

ナウシカを囲むオウムたちは、金色の触手を出し、ナウシカを天高く上げると、ナウシカは再び目覚め、歩き出す。それはまるで、古くからの言い伝えの様な、奇跡に満ちた光景であった。

オウムは森に帰ってゆき、ナウシカはアスベルたちと喜びを共有する。

トルメキア軍は風の谷から撤退し、風の谷には平和な日々が残る。そして、腐海の底には、ナウシカの帽子とともに、一本の小さな苗木が生えていた。

なぜナウシカは生き返ったのか


ラストのオウムの群れが、ナウシカとオウムの子供を跳ね飛ばすところで、ナウシカは一度死んでいます。

その後、オウムたちの金色の触手により介抱されると、再び生き返り、金色の触手の上を歩きます。

ここで、ナウシカはなぜ生き返ったのでしょうか。

このシーンではこんなセリフがあります。

大ババ「何といういたわりと友愛じゃ。オウムが心を開いておる。」

ナウシカは、オウムの子供が傷つけられたときも、自分や仲間の事のように悲しみ、怒りました。

他にも、生き返った後もオウムの子供を真っ先に心配しています。

ナウシカは、作中で最も虫や自然にいたわりと愛を向けた人物であると言えます。

オウムが傷ついたナウシカを復活させる場面は、こうしたナウシカの虫や自然に対する深い愛情に、オウムが応えたシーンである、と考えることができるでしょう。

ナウシカの、虫や自然を愛する心が、彼女を生き返らせるという「奇跡」を生んだのだと思います。

人間と自然との共存


そして、ナウシカの復活の後、オウムの群れは森へ帰っていき、そのすぐ横でナウシカたち風の谷の人々が喜び、抱き合うシーンがあります。

もともと、この作品ではトルメキアの皇女クシャナに代表されるように、人間と虫(自然)は、相容れないものであるという認識が、人間側に浸透しています。

さらに言えば、ペジテの人々が、オウムを利用して目的を達しようとした様に、人間は未だ、自然は利用するためのもので、人間の好きに扱って良いという考えが残っていると言えます。

しかし、ラストのシーンで、人間であるナウシカが、自然に棲むオウムと心を通わせ、彼らに受け入れられました。

これは人間が自然を大切にし、慈しむ心を持てば、自然はそれに応えてくれる、ということの表れではないでしょうか。

この世界では不可能だと思われていた人間と自然の共存は可能である、ということがラストのシーンに表れていると思います。

最後の帽子と木は何?


作品の最後には、ナウシカとアスベルが迷い込んだ腐海の底に、帽子と、1本の小さな木が並んでいる描写があります。

この帽子は、ナウシカの付けていた帽子で、木は、ナウシカたちの食べていた、チコの実が落ちて発芽したものと考えられます。

腐海の底にはきれいな土と空気があり、そこでチコの実が芽生える描写を出すことで、以下のことが表現されていると考えられます。

・芽生えた葉という未来を連想させるものを出すことで、今後の展開に希望をもたせた

・ナウシカたちの、偶然落とした実が芽生えることで、自然の連続性や、つながりといったものを強調した

・ナウシカの帽子(=人間のもの)と、チコの葉(=自然のもの)を共に描くことで、人間と自然の共存や、今後それらが歩み寄る展開を連想させた

最後のシーンは、他にもいろいろな解釈があると思いますが、私はこの作品は人間と自然との関係を描いたものだと捉えて、このように考えました。

それぞれの考え方で、いろいろな見方ができると思います。

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まとめ


今回は、宮崎駿監督のアニメ映画「風の谷のナウシカ」のラストシーンについて考察をしてきました。

これらをまとめると、

・ナウシカの自然を想う心が、オウムによるナウシカ復活という奇跡を生んだ

・人間が自然を慈しめば、人間と自然との共存はできるということを表現している

・ナウシカの帽子と一輪の葉は、今後の明るい展開を暗示しているのではないか

となります。

人間と自然との関係や、戦争といった様々な視点から考えさせられるこの作品。

このテーマの深さが、現在もなお名作と評される理由なのでしょう。

ジブリ映画はやはり奥が深いですね。

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